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日本下水道新聞-社説・解説

温室効果ガス対策の強化を

2007年09月05日

 温室効果ガスの排出による地球温暖化が世界的な問題となっている。異常気象を引き起こし、洪水や干ばつ、渇水のみならず、海面上昇をもたらし、多くの島嶼や陸地が海面下に埋没してしまう恐れさえあり、放っておいたら地球規模で恐ろしい事態が起こりかねない。温室効果化ガスの排出削減はいまや国際的な課題となっている。
 こうしたなか、日本は京都議定書で温室効果ガスの排出量を08年から12年までの5年間に90年比で6%削減することを義務づけられている。しかし、現状は削減どころか逆に増えつづけており、05年には90年比で7・8%も増加している。目標達成には、それこそ劇的な対策を講じない限り難しい状況だ。
 環境立国を掲げる安倍総理は去る6月にドイツで開かれたハイリゲンダム・サミットで2050年までに温室効果ガスの排出量を半減することを提案、紆余曲折を経ながらもメルケル独首相のリードで大枠で合意をみた。来年、北海道で開催予定の洞爺湖サミットでは、この基本合意をベースにより具体的な枠組みが話し合われることになろう。議長国である日本政府は環境立国の名誉にかけて、また世界の先駆けとしてCO2削減のモデルを示してもらいたいものである。 
 その意味で温室効果ガスの大量排出者である下水道事業の責任も重大である。良好な環境づくりを使命とする下水道事業が環境に大きな負荷を与えては下水道の大義も霞んでしまう。下水道事業者は、その実態と必要性を地域住民に明らかにするとともに今後、本腰を入れてCO2等温室効果ガスの削減対策に取り組んでほしい。
因みに東京都の下水道事業では、都全体の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量220万㌧の43%、約95万㌧を排出している。都下水道局では、これの削減をはかるべく09年度までに90年度比で6%以上の削減を目標とする「アースプラン2004」を平成16年に策定、汚泥の高温焼却やバイオマス発電、水力発電等に取り組み平成17年度までに7万㌧の削減をはかった。
東京都はまた、昨年、東京未来像「10年後の東京」を策定し、世界でもっとも環境負荷の少ない都市をめざし、20年までに00年比で25%削減するとした「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を立ち上げた。都下水道局では、これに沿って電力消費の少ない水処理・汚泥処理システムの開発や汚泥焼却過程で大量発生する一酸化二窒素の排出抑制等に向けた汚泥の炭化やガス化技術の開発を推進し実用化段階に入っている。製造された炭化物やガスは発電燃料等に利用でき、温室効果ガスの削減と資源化の一石二鳥の効果が期待されている。
また、神戸市では、下水汚泥の消化ガスを精製してバイオ天然ガスをつくりだし、自動車燃料として活用する取り組みをすすめ、平成19年度末には市バスやタクシーに供給を開始する予定という。東京都や神戸市のこうした取り組みは、温室効果ガスの削減や省エネ、資源再利用に貢献する試みとして高く評価できる。
下水道の役割・使命は従前にまして増幅し、水循環・資源循環という新しい役割||循環型社会形成の要としての機能が求められてきた。同時に、温室効果ガスの排出を抑制し、地球温暖化防止に寄与できる下水道システムへの転換も迫られている。住民生活や水環境、自然環境を守り安全・安心な暮らしの創出を責務とする下水道が大量の温室効果ガスを排出し、人類の生存を脅かしている地球温暖化を助長してはなるまい。
 下水道システムを環境負荷の少ない姿に変えていくことこそ「循環のみち」への本道である。国および全国の下水道事業者は産業界や国民と協働し、この命題に積極的に取り組まれることを期待したい。(日本下水道新聞 1881号)


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