日本水道新聞社 “水の世紀”-「水」と「人類」との共生を追求し続けます
会社概要 ご意見・情報 サイトマップ
トップページ 日本水道新聞 日本下水道新聞 水道公論 図書 広報・PR製品 資料編 リンク
トップページ > 日本水道新聞 > 社説・解説 一覧 > 解説 道州制と水道事業㊥ 進む役割分担の議論 権限移譲 内政は道州に

日本水道新聞-社説・解説最新の社説・解説

解説 道州制と水道事業㊥ 進む役割分担の議論 権限移譲 内政は道州に

2008年02月14日

■各方面から提言・報告
 道州制については「地方分権の推進」を共通項に各方面で議論が進められ、実現が訴えられている。
 平成18年2月28日、地方制度調査会(第28次、諸井虔会長)は「道州制のあり方に関する答申」を行い、道州制の制度設計に関する基本的な考え方を示した。
国の役割を本来果たすべきものに重点化して、内政に関しては広く地方公共団体が担うこと。都道府県から市町村へ、国から道州へ大幅な権限移譲を行うこと。その際基礎自治体の財政基盤の充実を図り、住民に身近な行政については基礎自治体が総合的に担うようにすること、などの基本的な考え方を示した上で、道州の位置づけについて「現在の都道府県に代えて道または州を置く。地方公共団体は道州および市町村の2層制とする」こと。
 道州の区域について「人口や経済規模、交通・物流、各府省の地方支分部局の管轄区域といった社会経済的な諸条件に加え、気候や地勢等の地理的条件、政治行政区画の変遷等の歴史的条件、生活様式の共通性等の文化的条件も勘案することが必要である」として三つの区域例(9道州・11道州・13道州)を例示。
 事務配分については「現在、国が実施している事務は国が本来果たすべき役割に係わるものを除き、できる限り道州に移行する。道州の事務は、現在都道府県が実施している事務は大幅に市町村に移譲し、道州は①圏域を単位とする主要な社会資本形成の計画および実施②広域的な見地から行うべき環境の保全および管理③人や企業の活動圏や経済圏に応じた地域経済施策および雇用政策、などの広域事務を担う」などとした上で、国と道州の事務配分に関するメルクマール、道州が担う事務のイメージを提示している。
 メルクマールでは、国がもっぱら担う事務として「国際社会における国家としての存立に関わる事務であって、特に国自らがその実現を担う必要があるもの」「全国的に統一されるべき基本ルールや地方自治に関する準則に関する事務であって、特に国自らがその実現を担う必要のあるもの」等。
 現在、国と都道府県の双方が対応している事務・事業の新たな事務配分として「国が全国一律の基準を定め、これに従って都道府県(および市町村)が実施しているもの(または市町村が実施し、これに対して都道府県が関与や調整を行っているもの)については、国はナショナルミニマムに係る基準など本来国が定めるべきものを定めることに重点化する。これにより、道州が、基準の設定をはじめ企画立案から管理執行までをできる限り一貫して担うことができるようにする」「都道府県(および市町村)が実施する事務に関して、緊急時において国が指導等を行っているものについては、生命、安全、危機対応等に関して必要な限り存置する」等々が挙げられている。 
 同年3月28日には、経団連が道州制導入に向けた第1次提言をまとめた。
経団連とあって、「民主導による活力ある経済社会の実現」「民間でできることは民間に。官の役割を必要最小限に止める」「民間の資金、ノウハウの活用」といった表現が随所に見られるものの、国と地方の役割分担を明確にした上で、国は国益を重視した政策に専念し、地域内の政策の企画・立案・展開は道州が担い、より住民に近い行政サービスは基礎自治体が担う、という基本的な考え方は地方制度調査会答申とほとんど変わらない。
 ただ、道州制が必要とされる背景や、導入の意義・目的についてかなり踏み込んだ記述が見られる他「国から地方公共団体(道州)に権限が移譲されることで、地方公務員の行政能力が向上し、地域における政策の質が高まることが期待される」「地方公共団体は、単なる事務・事業だけでなく、独自の施策の企画・立案・展開にも責任を負うこととなるため、行政能力の飛躍的な向上が求められる」と、担うべき役割の重点化に伴い、国・道州・基礎自治体それぞれの公務員の一層の能力向上が道州制成功の大きな鍵を握っていることに着目・言及している点などは注目される。
 「道州制の導入は、いわばわが国が直面する内外のさまざまな課題解決に向けた『究極の構造改革』として位置づけられる。道州制実現に向けて経団連としても積極的な役割を果たしてきたい」と全体的なトーンもかなり熱く、今年秋以降を目途にまとめられる予定の第2次提言も大いに注目されるところだ。
 激動する国際社会の中で、国際戦略、危機管理などに強い中央政府と、自治体の再編による自立的政治・経済圏ともいうべき品格と活力に満ちた一国並みの道州と基礎自治体から構成される、新しい「国のかたち」を創造しなければならない-。自民党道州制調査会も昨年6月14日、道州制に関する第2次中間報告をまとめた。
 国の役割を外交・安全保障等に重点化し、内政は道州に任せる体制をつくる。
国から道州および自治体に対して権限、財源、人間をパッケージで移譲する。基礎自治体を第一の担い手として制度設計を行うべきで、「住民の生きる場」として基本的な公共サービスを提供する役割を広く担う-とこちらも基本的な考え方は地方制度調査会答申、経団連提言とほとんど変わらない。
 道州と基礎自治体が自己決定と自己責任のもとで政策展開と行政サービスが実現できるよう国・道州・基礎自治体の役割分担を明確にすることが重要であると強調し、①国が政策および制度の基本、または基準を定める場であっても、その実施主体は道州および基礎自治体とする②地方支分部局は廃止し、その機能を道州または基礎自治体に移管する③国庫補助事業は、財源を付して道州または基礎自治体に移行する-と「役割分担の3原則」を掲げたことや、税財政制度について2段階の工程を提案したこと、中央省庁のあり方についても「国の役割の重点化等を踏まえたさらなる抜本的な再編が必要」と一応言及したあたりが注目されるところ。
引き続き、五つの小委員会を置き、昨年秋から11項目にわたる詳細な検討に入っている。


今月の水道公論
社説・解説
写真ニュース
人(ひと)