連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第18回 利根系導水路の2200㍉ダク鉄管 PC管は検討課題

昭和38年_09月16日 日本水道新聞_第0480号

2023年3月3日

東京都が百六十万立方㍍を増強する利根導水路の構想が発表するや大手パイプメーカーは色めき立ちそれぞれ生産態勢を固める一方売込みにもしのぎを削つた。中でも日本最大級の二千二百㍉管がどんな管種に決まるかは、技術的にも最大の関心がもたれていたが、揚程が百二十㍍という最大圧力を要するところから荒川に近い新浄水場地点から約六㌔分は鋼管に文句なく決定した。これは先に小河内貯水池から東村山浄水場までの口径二千四百㍉に鋼管を使用していた実績から技術的な心配はなかつたことによるものと解される。問題は東村山浄水場に近い部分、圧力八十㍍分の六㌔分にしぼられ、管種専門委員会を特設し、技術的、経済的両面から検討を行なわれた。
この結果、遠心力鋳造によるダクタイル鋳鉄管の二千二百㍉管はまだ使用されていないが、二千㍉前後のものが方々で使用されていることからしても、二千二百㍉でも強度は十分裏付けできるとの見通しをえた。しかし、慎重をきすために都技術陣は再三にわたって現場テストなど行ない、確信を得て採用に踏み切った。P・C管については技術的資料が十分でなく、現段階での使用に疑問もあって今後とも技術的面の審議を行なうことになったもよう。
今回仮契約した分は三千二百㍍に当たる八百本で久保田鉄工が四百八十本、栗本鉄工所が三百二十本となっている。この二千二百㍉は、長さ四㍍、肉厚二十八㍉で、久保田鉄工と栗本鉄工所が今春から設備態勢を進め、既に生産を開始しているので、両社は一日六~八本ペースで生産する計画。二千二百㍉ダクタイル鋳鉄管が水道用に採用されたのは日本で始めてであるが、大口径管を独占していた鋼管界に切り込んだものと注目されるばかりでなく、ダクタイル鋳鉄管のマンモス管時代の前奏とも受けとることができ関心を集めている。
藤田建設部長の話
「生産状況とか技術的な面をわれわれは長い間かかって慎重に審議し、ダクタイル鋳鉄管採用に踏み切ったわけだ。技術的には問題ないと考える。PC管についてはまだ十分な資料がなく確信にふれるまでにはいかなかったが、検討のすえよいと決まればP・C管も使用することもある」。(原文ママ)

水道新聞 最近の記事

水道新聞 過去の記事

連載 水を伝える
連載 水を伝える
ページの先頭に戻る