2025年5月1日
皆さんは、琵琶湖と聞いて何をイメージされるでしょうか。
日本で一番大きな湖であったり、日本海から京の都に物資を届けるかつての重要な航路であったり、今なお多くの漁業者が伝統的な漁を行う漁場であったり、夏場になると湖水浴をはじめとするさまざまなレジャーで賑わう水辺であったりと、人によってそのイメージはさまざまだと思います。
このように誰もがよく知る琵琶湖ですが、水の中に目を向けてみると、60種類以上の魚たちが泳いでいて、その中には17種類もの琵琶湖固有種(地球上で琵琶湖にしかいない魚)が含まれていることはあまり知られていません。中でもビワマスやホンモロコといった、海の魚にもひけをとらない美味しい魚がたくさんいるのに、〝川魚だから〟と一括りに敬遠されているのが残念でなりません。
ただし、そのような豊かな魚たちに恵まれた湖である琵琶湖はかつての話で、近年は大きく様変わりしてしまいました。原因はいろいろとありますが、その大きな原因の一つが外来魚の増加です。ブラックバスやブルーギルといった北アメリカ原産の肉食の外来魚が琵琶湖に持ち込まれ、多くの魚が琵琶湖から姿を消したり、数を減らしたりしてしまいました。浅場にいる魚の大半が外来魚となってしまった時期が長く続いたためで、今も滋賀県や漁師さんによって外来魚を取り除く作業が続けられています。その甲斐あってか近年は外来魚が減りつつあり、一時は数を減らしていた琵琶湖の魚たちが徐々に増えてきているようで、この先ふたたび豊かな琵琶湖に戻る日がくるかもしれません。
変わりなく青々とした美しい水を湛えているように見える琵琶湖ですが、水の中は人知れず変化しています。琵琶湖に来られることがあったら、そんな水の中にも思いを馳せていただければと願っています。

髙田 昌彦
たかだ・まさひこ琵琶湖を戻す会 代表。