連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第30回 52年水道法改正 広域水道整備が軸

昭和52年_05月26日 日本水道新聞_第1824号

2023年9月1日

水道法は昭和三十二年に施行されすでに二十年以上を経過している。この間における水道事業の進展は目覚しく、当時の水道普及率四〇・七%は、五十年度末で八七・六%に達し、水道を取り巻く諸情勢の変化は著しいものがある。このため現行水道法については〝現行にマッチせず〟として法改正を望む声が強く出ていた。
その後、各種の経過を経て水道法改正案はゆれ動いていたわけだがこの四月に入って急きょ、水道法をめぐる動きが活発化することになった。自民党社会部会による議員立法の動きであり、これは五月に入って急ピッチで具体化が進んだ。ことに厚生省水道整備課は橋本龍太郎議員(自民)を中心とする立法化の動きで四月以降、大忙しの状況となった。そして五月二十四日に衆院公労委へ議員提案して可決され、参議院まで一気に持ちこまれ、二十五日に成立したわけで、水道界懸案の大問題は舞台裏の折衝に時間をかけ、本番は二日間の超スピードぶりだった。(原文ママ)

水道界の永年の願望である「水道法改正」が二十五日実現した――同日午前開かれた参議院本会議は、二十四日に衆議院社会労働委員会に委員長提案され、同日午後の本会議、同じく参議院社会労働委員会で可決された「水道法の一部を改正する法律案」を可決、十年来の問題にピリオドが打たれることになった。水道法は去る三十二年に法律第百七十七号として成立して以来、今日まで二十年を経過しているが、この間における水道事業の変貌は著しく、四十年代後半からは法改正が水道界の願いともなっていた。このため厚生省はこれまで何度となく法改正問題を国会の場に上げようと努めていたが、諸般の情勢から見送られてきた。今回、議員立法(橋本龍太郎・衆院社労委員長提案)という形で急遽、法改正が実現することになったが、自民党としては十九日の政調会、二十日の総務会でほぼ成案の見通しを得、二十四日の衆院社労委に提案したもの。改正水道法では水道広域化の推進、ビル用水道の管理体制強化などが主眼となっている。(中略)

今回の改正の主な点は①水道広域化を推進するため、関係地方公共団体の要請に基づき都道府県知事が広域的水道整備計画を策定する②現在、法規制の対象となっていないマンションや共同住宅、中小ビル用の水道にも管理責任を負わせる③国、地方公共団体の責務の明確化④水質検査施設の整備促進⑤水道水源の汚濁防止に関する水道事業者の意見申し立て規定の整理⑥国庫補助規定の整備――などであり、従来、水道法で問題となっていた点を現状にマッチ、強化するよう改めている。
まず広域化の推進では第一章の二として「広域的水道整備計画」を新たに入れ、第五条の二として「広域的水道整備計画の都道府県策定」を入れた。ここでは「広域的な整備を図る自治体の要請に基づいて都道府県が計画を定める」ことが特徴となっている。(原文ママ)

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